またまた、すんまそん。こんなコーナー憶えてました?いや、決してブルーだったわ けじゃないんでっせ。しいていえば、元気過ぎて、でずーっとレコーディングしてま した。なんか、今回イレ込んじゃいまして、他の事手に着きませんで、もう無理矢理書きます。
で、みなさんもうお忘れになったと思いますが、今回のテーマは、現在の格闘技界の ニ大勢力である「プライド」と「HERO’S」の違いについて。
最初、ルールの違いから分析するつもりでしたが、よく考えると、現在の総合のルー ルはある程度行き着いた感があって、実の所どこのルールも表面上は大きな差がない のです。ただし、その理念に於いて決定的な差があるので、今日はそのあたりからひ も解いていきましょう。
まず、現在の日本に於ける総合格闘技の源流について検証します。この源流が「プラ イド」と「HERO’S」とでは大きく違ってるわけです。
そもそも、「総合格闘技」というのは日本で生まれた言葉で、世界的には「フリーファ イト」「アルティメットファイト」等と呼ばれています。もっとも古くまで遡れば、 古代ローマで行われてた「パンクラチオン」と呼ばれていた、ほとんど殺しあいのよ うな競技に行き着きます。その後時を経て、それぞれのジャンルに特化して、ボクシ ングやレスリングといった形で競技性を強めていくわけですが、その一方で、ブラジ ルなどでは、「パンクラチオン」に近い形の格闘技が盛んになって来ます。これは、 ポルトガル語で「バーリトゥード」「ルタリブリ」などと呼ばれるもので、まあ、 「何でもあり」「自由な戦い」といったような意味です。こいつがアメリカに於いて 「UFC」という大会になり大ブレーク。この流れを汲んでいるのが「プライド」です。
では、「HERO’S」の方は?というと、基本的にはプロレスなんですね。ここだけ聞くと誤解しがちですが、元々、プロレスっていうのはちゃんとした競技だったはずなんですね。ところが、色んな人の思惑やら時代背景やらがからまって、いつしか「大衆演劇」もどきのショーになってしまった。まあ、その後色々、紆余曲折あるのですが、長くなるのではしょります。で、そんな風な「学芸会」レベルに成り下がったプロレスを、もう一度ちゃんとした格闘技に引き上げようとしたのが前田日明であり、UWFという団体だったわけです。だから、「パンクラチオン」の流れを汲む「プライド」が極論すれば「殺しあい」にベクトルが向いてるのに対して、前田の理念は「プロレス」に於ける矛盾点をいかに解消するかにあったわけです。「何故、ロープにふられ たら戻って来るの?」「何故、相手がコーナーポストに上るのを黙って見てるの?」 「何故、馬場のキックにわざわざ当っていくの?」そういうグレーな部分を極力排除 して、そして、ダウンやロープエスケープをポイント制にして競技性を高めたの がUWFルールだったわけです?だ、日本に黒船(バーリトゥード)が来る前、こ のUWFは大ブレークするわけです。しかし、アメリカでUFCという「何でもあり」の大 会が開かれるやいなや、日本でもそれが主流になっていくわけです。なんてったって、 「アメリカがくしゃみしたら日本は風邪をひく」なんて言われてるくらいですから。
当時、この「何でもあり」の象徴になったのが「マウントポジション」という状態と そのポジションからの「マウントパンチ」という攻撃です。要するに、倒れた相手に 馬乗りになって、顔面を殴るということです。前田の美学はこれがどうしても受け入 れられなかった。前田はその後「リングス」で「KOKルール」という総合格闘技のルー ルを作り採用するのですが、このルールに於いても頑に「グランド状態での顔面への 打撃」は禁止したのです。結局このルールは「残虐性」は低いものの非常に競技性に あふれており、格闘技ファンからは高い評価を受けたのですが、「このルールで勝っ ても強さの証明にはならない」という意見が多く、結果的には「何でもあり」のルー ルが主流となったわけです。ただ、当時から前田が言っていたのは、ルールによって 規制があるから技術は進歩するんだ、ということ。即ち、サッカーもボクシングも使 える部分が限られてるからその技術が進歩したんだということです。実は、皮肉なこ とにこの理論が正しかったことが、「プライド」のリングで証明されているのです。 ヘビー級チャンピオンのヒョードルもその対抗馬のノゲイラも、そしてミドル級トー ナメントで惜しくも優勝は出来なかったが、あの桜庭やシウバを子供扱いにしたアロー ナも、現在ウェルター級トーナメントの最右翼ダン・ヘンダーソンも、みんなこのKOKルールの出身者なのです。

で、前田率いる「HERO’S」では、総合格闘技界の主流ということで、現在は「グラン ドでの顔面攻撃あり」のルールを採用しているのですが、その根本的な理念から、レ フェリーのストップのタイミングが「プライド」に比べてかなり早いのです。「プラ イド」では顔面を血だらけにしたり、SFX並に眼を腫らしたりというのが当たり前に なってますが、「HERO’S」ではそうなる前に試合を止めます。これが「プライド」ファ ンには物足りないらしく批判の対象になってますが、実はこのルールの格闘技が地上 波で流されてるのは日本だけなのです。本場ブラジルでもペイパービューのみだしア メリカに至っては、ペイパービューはもちろん開催できる州も限られてる状態なので す。そういう意味では前田の感覚は極めて正常と言えるのですが、今の日本の若者達 はどこまでも刺激を求めてるみたいです。
そんな状況の中で前田「HERO’S」のこれからの動向は実に興味深いと思います。

(2005.10.15)

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