ずっと格闘技ネタが続いたので、今回は本職の音楽ネタ。
それもニュー・アルバムの内のバラード・アルバム「Rain Of Pain」についてのちよっとしたエピソードを書きたいと思います。
今回のアルバムに収録されているのは、全曲がラブ・バラード。本来僕が最も得意と してる種類のものではありません。(飽くまでも一般的なイメージとして)何曲かの新曲も含まれてますが、主に’89年~’92年頃に作られた曲が中心です。
ある程度のコアなリスナーの方は御存知かと思いますが、僕はCDデビュー前、ある大手レコード会社の援助の元、音楽活動をしてました。
その当時、複数のプロデューサーさんや、ディレクターさんのお世話になったのですが、中でも特に二人の方に深くお世話になりました。二人ともイニシャルはSさんです。
一人はビッグネーム。当時の音楽関係者ならまず知らない人はいないような人でした。
その人は僕の作家としての才能は高く評価してくれていたのですが、僕自体をミュージシャンとしてデビューさせるという考えはあまり強くなかったと思います。まあ、こっちのSさんとの関わりは、今までにも何度か書いてきたので、今回は割愛します。で、もう一人のSさん。ビッグなほうに比べると全くの無名。ある新人発掘オーディションの関西地区の担当者。当時もう一人の方のビッグなSさんに憧れてた僕は、どっかで彼のことを少し見下してたように思います。
ただ、彼は、「浜田君は自分のための唄を作り、そしてソロ・ミュージシャンとしてデビューするべきだ」という考えの持ち主でした。
ある時、彼が「浜田君、ちょっとラブ・ソングを中心に作ってみてくれる?」と言っ てきました。彼はどうやら、デモ・テープに入ってた「Don’t You Go Away-行かないで-」っていう曲がえらく気に入ったらしく、「あんなふうな曲を、とにかく沢山作ってみてくれないか」ということでした。
彼は何冊かの小説や、ドラマの台本などを僕に渡し、「これのテーマ・ソングを作る ようなつもりで作ってみて」といようなことも言って来ました。
実は今回の「Rain Of Pain」に収録されてる曲の多くは、その頃の曲なのです。
その曲達は、もう一人のビッグな方のSさんからは酷評された曲達です。
でも、もう一人のSさんは「うわー、凄いなあ。最高!」と大袈裟に誉めてくれました。僕は心のどこかで嬉しかったんだけど、なんかどこかくすぐったかったのと、そ れらの曲達が、僕のイメージと違ってるのとで、彼の讃辞にはあまりポジティブな反応を示しませんでした。
そんな彼が当時僕に言った言葉で凄く印象的なものがあります。
「浜田君、君のその右の拳は凄い破壊力を持ってるし、その拳こそが浜田裕介たる所 以だと思うよ。でもね、実は僕は、君のその左の掌にも非凡なものを感じてるんだよ。 将来、確実にその左の掌が役立つ時が来ると思う。君のその破壊力抜群の右の拳を生 かすためにも、その左の掌を大切にして欲しい」
多分、そういう内容だったと思う。
最近なんとなく判って来た。っていうか、当時は判らないふりをしてただけかも知れない。
「矛盾」という言葉がある。中国の故事に由来した言葉で、 「どんな堅い盾も貫くという最強の剣」と「どんな優れた剣でも突き抜くことが出来 ない最強の盾」の話しだ。要するに二つの事実が相反していて、その状態を「矛盾」 という。
彼(ビッグじゃない方のSさん)はその後、っていうか僕に関わったことも大きな要因なのだが、左遷させられ、最後は「演歌部門の営業」をやってると、随分前に聞い た。
今回僕は、「最強の矛」と「最強の盾」が本当に「矛盾」するのか?
そのテーマを確かめるために、ニ枚のアルバムを同時にリリースしようと思うんです。
もう少し待ってて下さい。決して裏切らないつもりです。

(2005.11.3)

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